【WEB】ワンダーランド 2011.10.12
「無防備映画都市-ルール地方三部作・第二部」(作・演出:ルネ・ポレシュ)
◎演劇が先か、映画が先か。
新野守広ルネ・ポレシュの舞台をはじめて見たときの印象は、今でも鮮やかに思い出すことができる。それは2002年5月のベルリンだった。会場はプラーターという小学校の体育館ほどの大きさの古いホールで、旧東ドイツ時代はダンスホールとして使われており、そのせいか建物全体は東ドイツ時代を思わせ、かなり傷んでいた。このホールはフォルクスビューネ劇場の付属施設で、その前年にポレシュはホールのアート・ディレクターに就任したところだった。ここで『餌食としての都市』、『マイホーム・イン・ホテル』、『SEX』の三部作が上演された。どの舞台もまず俳優たちが激しい資本主義批判を機関銃のように喋り出す。俳優たちがひとしきり語ると、ダンスをまじえたショータイムになる(ポレシュはこれをクリップと呼んでいた)。議論とショータイムがセットになり、何回も繰り返される。作品によっては俳優たちが語る内容はとんでもない方向に脱線する。映画や小説、テレビ番組、現代思想を自在に引用しながら語って語って語り止まない俳優たちは、いつの間にかクスリ中毒のソープオペラの話に熱中し、それを聞いている観客全員が唖然としつつ笑いこけることもあった。さまざまなジャンルからの引用と社会批判が切れ目なく続く独特の台本は、ポレシュが稽古中に俳優の意見も取り入れながら作ったという。語りが滞らないようにプロンプターが俳優を助けていたことも印象に残った。ポレシュの舞台では裏方も観客の前に登場する。
(つづく)