舞台芸術の国際フェスティバル、フェスティバル/トーキョー(F/T)

「フェスティバル/トーキョー」に宮沢章夫登場

バブル前夜と今を照射・・・14―24日、西巣鴨で

14~24日には宮沢章夫率いる「遊園地再生事業団」の新作「トータル・リビング 1986―2011」(東京・西巣鴨のにしすがも創造舎)が上演される。バブル前夜と現在の2時点から、この社会のすがたを照らす試みだ。
 F/Tが今年掲げるコンセプト(基本概念)は「私たちは何を語ることができるのか? ~現実を掴(つか)み直すために~」。宮沢はそれを知らずに、東日本大震災後の現実と向かい合って台本を書いた。「3・11後の現在をどう語るか。難しいわけですが、1986年をパラレルにこの芝居のどこかに置くことで、現在の投影のされ方が変わるんじゃないかと考えました」

 86年はチェルノブイリで原発事故が起きた年。宮沢は30歳、演劇歴の中で最も多い3本の芝居を作った年だった。「僕自身、バブル前夜の特別なにぎわいの中にいた感じがする。郷愁とともに、ゲーム的感覚で生き、それがいつまでも続くと思っていたあの時代とは、一体何だったんだろうということもある」

 2011年の生活、86年夏のパーティーのビンゴゲーム、「南の島」の3章からなり、場所はすべて屋上という設定だ。初の試みとして、ワークショップで採集した、街で聞いた言葉を台本に織り込んだ。「どんな人がどんな場所でどんな言葉を話していたか。たまたま地震前後にそんなことをやっていた。3月11日の日付が含まれることで、普通のことばが別の重みを持ち、ことばに負荷がかかる」

 阪神・淡路大震災とオウムの地下鉄サリン事件が重なった95年に、この社会の断絶はあったと感じる。今回の大震災も「10年たってみないと分からないけれど、節目になるのかなという気はしています」と語る。

 「いまは精神的にぬかるみを歩いているような疎外感、一歩足を上げようとする困難を感じずに歩けないのではないか。そんなことを考えています」。

[web 掲載] 「フェスティバル/トーキョー」に宮沢章夫登場 : 演劇 : 舞台・伝統芸 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

2011.10.05